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気付いたら23歳(遠い目
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四月、五月は不調だから。
夏から首位打者ペースで打ちまくるよ。
しかし、眠い。この文章は大丈夫だろうか?

ノリス×ディム
午前中たまたま揃って非番で、本当はたまたまではなく、彼の定休に私が何となく期待感を持って合わせただけなのだけれど、それが全部お見通しであるかのように彼はきちんと午前中の11時に私の私室へやってきた。早々に上着を脱いで勝手に掛けると、これまた勝手に台所へ行ってお茶を淹れ始める。部屋の主である私は、見慣れた、でも久々に見るような気がする光景をのんびり眺めるだけだった。

「随分久しぶりだな。」
「一ヶ月ぶりか?」
「ああ。今日は夕方まで空けたんだ。」
「俺のこと構ってやろうって?」
「私が構って欲しかったのかもな。」

いつも、何となく、距離感を計るようにして逢瀬が始まる。いつも通りの親しげな会話をしながら、でもだんだんとこの空間に二人きりの私と彼を意識し始める。仕事の場でも二人きりになることはしばしばあるけれど、その時とはお互いの気持ちが全く違う。仕事に私情を、特に私と彼との間の恋愛なんてことを差し挟めないと言った妙な職業意識の高さ、それは即ちある種の照れなのかも知れないが、を私達は共有していた。

カップを二つ持って彼はソファーに腰掛けた。無言の意思表示に従って、私は彼の隣に腰掛ける。男二人が座るには広いソファーとは言えないが、この狭さが今は何とも言えない気持ちを醸し出す。少し動いたら彼に触れてしまいそうで、もどかしいような恐いような。色んな思いが浮かびつつ、何となく言葉がなくなって、沈黙。急に彼の手が伸びてきたら、と思って熱いお茶のカップに手が伸ばせない自分の愚かしさに苦笑する。

彼の様子を探ろうと横目で見やると、すぐに気配を察した彼と目が合ってしまった。うっかり見詰め合う形になってしまい、何となく恥ずかしい。苦笑して咳払いをしつつ、無理やり目を逸らした私を彼の言葉が追ってくる。

「あのさ。」
「ん?」
「俺、今日自制する為にゴム買わなかったから。」
「・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・。」

そんな発言をした自分が可笑しかったのか、彼は笑いを堪えながらカップに口をつけている。それをぼんやり見る私を彼が横目で見た。妙に優しい目をしていて、何だかホッとしてしまって、彼がカップを置くか置かないかを見計らって彼との間の僅かなスペースを自発的に埋めた。

久しぶりに逢瀬で何か障害がない限りは夕方の仕事も気にせず事に及んでしまうだろう程、彼に求められている自分の存在と、それを自分で分かっていて私の身体を気遣って私達がきちんと自制するように配慮した彼の心遣い。その二つを自覚する事で、ありふれた平日の午前中が数百倍素敵なものに思える。

「心配掛けてすまない。」

そう言おうとしたのに途中で唇をふさがれて、浅いキスの最中に「少し黙ってろ」と優しく釘を刺されてしまった。私は基本的に恥ずかしくなってしまうと何とか言葉で誤魔化そうとして多弁になってしまう。彼と二人でいて恥ずかしいも何もないのだけれど。ただ、これだけは言いたいと思ったから、キスの雨を浴びながらぽろりと零れるように言葉を出した。

「幸せ。」
「顔に書いてある。」

ちゃんと彼の顔にも書いてあったのがとても嬉しかった。
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