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気付いたら23歳(遠い目
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夢のない夢小説。

覚えのない部屋で目覚める主人公。イクティノスが枕元にいて「おはよう、フェルプス君」ってスパイ大作戦から引用した冗談を言う。情報部に拉致されて監禁された事が分かる。覚えがない主人公にイクティノスが「例の件についてどこまで知ってるんですか?」と問う。 勿論主人公は何も答えられない。知らないの一点張り。「素直に話してもらえないと乱暴な手を使わざるを得なくなります」と言い残して席を外すイクティノス。

拷問を受ける主人公。拷問は適切なのが思いつかなかった。直接痛い感じよりメンタルに来る系が良いんだけどね。たまにイクティノスがやってきてお茶を飲む時間があり、その時だけ心が落ち着く。そうやって心の隙を作る作戦だと分かりつつもだんだんイクティノスに心を許す主人公。昼も夜もなく続く拷問に日にちの感覚が狂う。精神的にぎりぎりになった頃、変化が生じる。

イクティノスがそっと救出計画について書かれたメモを渡してくるようになったのだ。救出を信じ、イクティノスに勇気付けられ、拷問に耐える主人公。ある時、特殊部隊が突入して主人公を救出する。特殊部隊の兵士が問う「無事で良かった。しかし、あんた、何でこんなことに?」勿論、主人公は「分からない」としか答えられない。

舌打ちする兵士が「少将、これでもだめなようです。」 イクティノスが部屋に入ってきて「頑固な人ですね」と笑う。救出作戦が狂言だと気付く主人公。助かったと思って緊張の糸が切れてしまったためガタガタと震え、泣き出す。「仕方ありませんね。もう少し続けましょう。」とイクティノスが笑い、主人公は意識を失う。

目が覚める。最初に目覚めた時と同じ風景。「おはよう、フェルプス君。」と声がかかる。怯える主人公にいくつか簡単な問い掛けをし、正気であることを確認するとイクティノスは満足げに頷く。

イクティノス「貴方はテストに合格しました。情報部へようこそ。」




無限ループで終わらせるかなぁ、とも思ったけど、そうなっちゃうと夢がないからね。まぁ、終わらせるも何も書けなかったんだから意味がないんですけどね。雰囲気だけ味わっていただけたらと思いまして・・・。
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大きいことはいいことだ

高校一年の春休み。半端な長さの休みで特に予定もなく、共働きの両親は年度末で忙しく、ぼんやり本を読んでいたところに幼馴染がやってきた。インターフォンを押して、名前を告げて、僕の発言を全く待つことなく上がり込む辺りが、大きなしゃもじを持って他人の家に押し入る芸人を彷彿とさせた。


「おうおう、俊介。」


俊介というのは僕だ。倉橋俊介。特に名前以外紹介することもないから、これだけに留める。


僕が何を言っても無駄だろうと諦めて、自分の部屋に上げたところ、特に遠慮もなく人のベッドに寝そべって、一言二言お決まりのように「意外に部屋が汚いのはギャップ萌え狙いなの?」とか言ってから、彼は本題を切り出した。


「あのさ。」


彼が何かを切り出す時は、決まってこれで、僕の経験だとこれから聞こえてくる内容はあまり良いものではないことが多い。


いくつか例を挙げよう。中学二年の八月、夏休み最終日に宿題を手伝えと電話を掛けてきた。中学三年の11月、二人の女性から言い寄られて両方に良い返事をしてしまったが、どうすべきかと相談された。高校一年の6月、子供産んで育てるためには幾ら必要かと聞かれた。


幸い、最後の奴は僕が早合点しただけだった。親を大切に思い始めたかれは自分に幾らかかったのかが気になったのだそうだ。僕はてっきり、彼が自慢のうっかりぶりで16歳の父になったものと・・・。


「お前のちんこ見せてくんない?」
「何だ、そんなことか。」


てっきり「最近担任のお腹が大きくなっているのは自分が原因」だとか「自転車で人を轢いてしまって相手が重傷」だとかそれぐらいのことかと思った。何だ、ちんこを見せるぐらいなら・・・って、え?


「あ、良いの?案外あっさりだったな。良かったー。」
「え、いや、待て。ちょっと待て。」


平然と人のズボンのベルトに手を掛ける辺り、こいつの行動規範は少しばかりおかしい。僕は、大過なく生きていくことを最大の目標にしているのだけれど、その目標への最大の障害は間違いなく彼だと思う。


「え、ダメなの?」
「いや、ダメだろ、普通。」
「前から何度も見てるじゃん。」
「10年くらい前の話だろ。」
「まぁ、そうだけど。」


友達は選べるが親兄弟は選べない、という話があった気がするけれど、僕は幼馴染も選べないと言いたい。この男、永井弘之とは随分長い付き合いになるが未だに意味が分からない。


「何でそんなに見たいんだよ。」
「お前の凄い大きいって聞いたから。」
「は?」
「高岡が言ってたんだよ。」
「何で高岡が?」
「林間学校の風呂で見たらしいよ。」
「・・・・。」
「あいつお喋りだから、凄い噂になってて。」


最近女子が俺の顔を見て苦笑いしたり顔を赤らめたりするのはそれなのか。俺はてっきり日頃考えていることが顔に出ているのかと思っていたけれど、なるほど、今度高岡にはお礼をしなければ。


「と言うわけで。」
「脱がすな!」
「でかいんだし多少減ったって良いだろ。」


違う。そういう時のコメントは減るもんじゃないだろ、だ。あぁ、意味が分からん。大きかったら見たくなるのか?だったら海外のゲイサイトでも見て回ってグローバルスタンダードなサイズを見たら良いじゃないか。いや、自分で見たことないから適当なことを言っているけれど。


「うわっ。でか。」


僕は押しに弱い。押しに弱いからこういう強引な人間といつまでも親しくしている。僕は大して親しげに振る舞ったことはないのだけれど、彼が親しい人間らしく行動するのだ。結果、僕は彼と親しいかのように、というか親しくなってしまってかつそれが継続しているのだ。


「うわー、すげー。」
「もう良いだろ!」


他人に陰部を見せろと要求されたのも初めて、無理矢理服を脱がされたのも初めて、陰部をしげしげと見られたのも初めて。ちなみに言うと、陰部を触られるのも・・・。


「何でお前は人のものを触ってるんだ!」
「あ、何か、ほら、折角だし。」
「どんな折角だ。」
「これが勃起したら凄いだろうなと思って。」
「・・・・!?」


こいつはやばい。本格的に頭がおかしい。何故そんなに人の陰茎に興味を持つ。ちんこで盛り上がるのは小学生までにしてくれ。いや、現在彼はそのワードではなく実物で盛り上がっているわけだが。


「うわっ、やめろ、馬鹿。」
「あ、でかくても結構敏感なんだ。」


その知的好奇心に溢れた顔は止めろ。羞恥と情けなさで死にたくなる。彼は制止も聞かず、というか僕がきちんと抵抗出来ないまま、彼は積極的に僕の陰部を弄り始めた。


「あ、ちょっとでかくなってきた?うわっ。」
「お、お前、息・・・当たる。」
「え?あぁ。フーッ。」
「ひゃあっ。」


僕は今、女の子に生まれなくて本当に良かったと思っている。この性格だったら絶対に悪い男に押し切られて大して好きでもない人間に処女を捧げることになっていただろう。僕は男で良かった。勿論、そのささやかな幸せは現状には何の慰めにもならないけれど。


「お前、ほんと・・・いい加減にっ。」
「そろそろ完勃ち?もうちょい?」


濁りのない真っ直ぐな目でこちらを見るな。僕は正直、少し気持ち良くなってきてしまって、どうしようもない表情をしている筈なんだ。もうそっちを見るのは許すからこっちを見るな。


「すげーな。これ入ったら死ぬな。」


指で大きさを測りながら、彼は物騒な感嘆の声を挙げる。いや、その前に僕は羞恥で死にそうなんだが。


「もう十分見ただろ。そろそ・・うわっ。」


流石にもう終わりと思ったけれど、やはり彼は僕の思うようにはならない人間で、どうしてそんなことをしたのか全く僕には分からなかったけれど、彼は知的好奇心が輝く瞳のままで、僕の陰部を口の中に収めた。


「ばっ・・・おま、何して・・・。」
「ふへぇ。ふひのなかひっはい。」
「しゃ、べんなっ。」


今更だが、僕は童貞だ。初めてのフェラチオ(英語だとblow jobとか言うらしい、いや、今は全く関係ないが、脳裏に浮かんでしまったのだ)が無理矢理で、男で、しかも永井弘之だったのはショックと言う他ない。


ただ、それ以上にショックだったのは、彼に銜えられることに堪らない快感を感じたことだった。あぁ、何と浅ましい動物なのだろう。性器に刺激があれば相手は何でも良いと言うのだろうか。まだ性行為に少しばかりのロマンを求めていた高校生の僕は絶望する思いだった。


「やめっ、はなせっ・・あっ。」


勿論、そんなのは後付けで、その時僕の脳内にあったのは二つ。強烈な射精感と流石に口の中に射精してしまってはまずいだろうということ。脳内にあったたった二つのことが相反するのだから人間とは因果な生き物だ。


「離せっ。出るから。でちゃっ。」


生まれてきて16年と3ヶ月、精通があってから4年と11ヶ月、僕が経験した中で最高の射精だった。悲しいのは、その一瞬後には最悪の後味が押し寄せてきたことだけれど。


思い切り喉に出されて、流石に彼は咳き込んだ。恐らく僕は全く悪くないはずなのだけれど、何だか悪かった気がして、慌ててティッシュを数枚取って彼に差し出した。


「はぁ、うわ、何か、凄い味だな。」
「え、まさか、お前・・・。」
「え?」
「飲んだのか?」
「いや、折角だし、経験かなと思って。」


彼の折角だし、は幅が広すぎる。僕は何だか腹立たしくなって、ティッシュで彼の口周りを雑に拭き取って、屑篭に放り込んだ。


「あ、怒った?」
「怒るに決まっている。」
「悪かったって。」
「お前、何が悪かったか分かっていないだろ。」


どこが悪かったか何て、今回の件なら述べればキリがないが。見ようによっては悪質な強制わいせつだ。と言うか、どんな見方をしても悪質な強制わいせつだと思う。


「いや、ごめん、ごめん。お前の反応が良いから。」


頭を掻く彼の様子に、何か不自然なものを感じた。何故か体育座り。さっきまで胡坐をかいていた筈なのだけれど。


「・・・。」
「ん?どうした?」
「ちょっとお前、立て。」
「え?」
「立て。」
「いや、その。」
「立てないか?」
「えーっと、その・・・。」
「理由を言え。」
「・・・勃っているので立てません。」


照れながら、少し上手いことを言ったような顔をしたので、余計に腹が立って、もう少し追求する。


「何で勃ったんだ?」
「えーっと、その、何か・・・。」
「何か?」
「お前のちんこ舐めてたら。」
「ほー。」
「興奮、して。」


そういうものだろうか。同じ男を弄んでそんなに面白いものだろうか。分からないが、実験は簡単に出来る。


「え、ちょっと、待て。待て。」


彼の足に手を掛け、強引に開かせる。そもそも体格は僕の方が良いのだ。力も少しだが僕の方が強い。彼は僕に比べたらきちんと抵抗をしていたが、大した意味はなかった。


足を開いた先で、ズボンが内側から押し上げられているのが見えた。なるほど、なかなかにいやらしく見える光景ではある。ズボンに手を掛けると抵抗は更に激しくなったが知ったことではない。


「やっ、止めろって。」
「お前は人にしたことを拒むのか?」
「あー・・・いやぁ・・・。」


言い淀んだ隙に進める。ズボンを下着と一緒に下ろし、陰茎を露出させる。触ってもいないのにすっかり立ち上がった彼のものが眼前に現れた。同じ陰茎と言っても、大きさや形が色々とあるものだ。なるほど、しげしげと眺めていた気持ちが少し分かる。


「あっ、やめろよ、さわっ・・・あっ、はっ。」


触ってやると、人に敏感と言っていたくせに自分の方が派手に反応をしている。抵抗も止んで、大人しくなってきた。さて、どうしたものか。


「何か、自分でするのとちがっ、ああっ。」


人の性器を弄って興奮のを覚える気持ちは何となく分かった。これは彼の反応が良いからかもしれないので普遍的なものとは断言出来ないが。さて、本来の目的は達されたけれど、どうしたものか。ここはやはり。


「うっ、わっ、お前、口っ。」


折角だから銜えてみようと思う気持ちも分からないではない。彼は涙目になって喘ぎ声を漏らしている。その口がさっきまで自分のものを舐めていたかと思うとなかなかにそそるものがある。何をだと問われても上手く応えられないが。


しかし、驚いたのは、案外同性の性器を口に含むことへ抵抗がなかったことだ。目の前でやられた後だからかもしれないし、女性の性器を舐めた経験がないから比較は出来ないが。


「しゅん、すけ、お前・・・何でそんなうまっ・・。」
「はんへといはれへも。」
「お前、もしかして、経け、いたっ。」


とても失礼なことを言われた気がしたから緩く歯を立てた。たちが悪いのは彼が冗談ではなく本気でそういうことを聞いてきたことだ。同性の性器を舐めるだなんて、そんな恐ろしいことをそうそうする訳がない。いや、現にしているのだが。


「あっ、あぁっ、あぁぁぁぁっ。」


何というか、僕の幼馴染は想像以上の変態だったようで、僕が歯を立てた途端、喘ぎ声を更に激しくして口の端から唾液を垂らしながら、盛大に僕の口の中に射精をした。


驚きのあまり口の中に放たれたものを、そのまま飲み込んでしまった。今まで飲んだことのあるどんなものよりも飲み込みにくいそれは、喉の奥に張り付くような感触を残しながら僕の食道の中に消えていった。


「おまえ、なんか、上手すぎ。」


少し潤んだ目と上気した肌と、満足気な表情で彼がそう言ったのが、何だか堪らなく腹立たしく、僕はもう萎えてしまった彼のものにもう一度噛み付いた。


彼が喜びの声を上げ、僕が悔恨に打ちひしがれたのは言うまでもない。














あとがき
酔っ払って書いたものを手直ししました。純粋に気になるのが、人のちんちん銜えるってどんな気持ちなんだろね、ってことなんですよ。僕、経験ないんで。多分、僕は案外いけそうなんですけど、まぁ、普通はちょっと抵抗あるだろうなぁ。


勢いで書いたものなので、手直しするにしても勢いを失わないようにしました。お陰で拙い点は多々あるんですけど、まぁ、勢い感が伝わったらいいかなと思います。俊介くんと弘之くんの遣り取り、特に「でかいんだし多少減ったって良いだろ」って辺りはお気に入りです。笑
本来、高校生ミクリトで書こうと思っていた夢精話。
ちょっと、というか大分行き詰まったので断片をここに上げて降伏しようと思うのだ。
アマツカさん、東京来た時に色々知恵借りたのにすまん。
ちょっと王道過ぎて書ききれなかった。

当然ですが、性描写があります。
相変わらずの薄味っぷりですが宜しければ。




リトラーの肌はサラサラと滑らかで、体温は私よりも少しだけ高くて、薄くついた筋肉の弾力が触っていて心地良かった。

「やっ、ばかっ、くすぐったいっ。」

前を肌蹴たシャツから覗く薄い胸板に、周りより少し色が濃いだけの乳首が妙にいやらしく浮いていて、指先で優しく押し潰すと大袈裟に身体を震わせて、声を漏らす。

「リトラー、可愛い。」
「やっ、だっ、やめっ・・・。」

抵抗しようとして私の肩を押す手は力無く、むしろ誘っているようにさえ私には思えた。勿論、そんなことは勝手な妄想だと分かっているが高められた興奮にとっては些細なことでしかない。

顔を背けるリトラーの頬に、首筋に、鎖骨に、口付けていく。鎖骨には私が吸った跡が残った。彼を征服したような気持ちになって、ぞくりと背筋が震える。

「あっ・・・え?」

動きを止めた私を不思議そうに、そして怯えながら見上げるリトラー。呆けたような様子の彼の隙を突いて、口付ける。口を塞ぎ、歯茎をなぞり、舌を絡める。彼は息苦しそうに呻いた。

「んーっ・・・んっ、んっ・・っ。」

彼は私の舌を噛もうとはしなかった。積極的に応えることはしなかったが、徐々にキスに慣れ、私の唾液をぼんやりとした目をしながら受け入れていた。彼の手は既に私を押してはおらず、縋るように肩の辺りを握り締めて私の服に皺を作っていた。

キスをしたまま、彼を抱き締める。既に緩くズボンを押し上げていた彼のものが、布越しに私のものと当たった。一際大きく彼の身体が跳ね、それから不安げに私の方を見た。

私はその瞳に、確かな欲情の色を見た。

















夢精はしていなかった。

まだ時刻は朝の5時半だった。現実だったのは、興奮しきった私の頭と身体だけだった。親友との過ちが夢だったことに安心するよりも、半端なところで目が覚めてしまったことへの後悔が先に立った。

罪悪感はまだ感じなかった。夢の中でくらい彼を抱いてしまえたら良かったのにと思った。全て私の脳が作り出した幻想とは分かっているものの、手は彼の肌を覚えていたし、舌は彼の口の中を覚えていた。抱き締めた感触も、匂いも、声も、容易に思い出せた。

私は、初めて彼を思いながら自慰をした。


・・・・・・


私は何て軽率な人間なのだろう。いつもの通学路を、平気な顔で彼と一緒に歩ける自信がなくて、適当な理由を仕立てて早く家を出た。

学校でも、何かと理由をつけて彼と関わる時間を減らした。恐らくその日の午前中、彼と過ごした時間の短さ、話した言葉の少なさは、これまで16年間生きてきた中でもワースト5に入ると思う。

「どうしたんだよ。」

昼休みに問い詰められて、狼狽した。彼が口を開く度に覗く赤い舌から目が離せなかった。結局私は「何でもない」と全く何でもなさそうではない様子で言って彼を突き放してしまった。

「そう・・・か。」

彼は傷ついた表情をしていた。何か自分に落ち度があったかと探しているような顔をしていた。何かあるなら言ってくれという気持ち、何か重大なことを聞かされてしまいそうで怖いという気持ちの両方が表情から伺えた。

「お前は何も悪くない。」

この言葉が彼の気持ちを軽くすることはないと分かっていたけれど、言わずにはいられなかった。私は自分の軽率さを憎んだ。

「それなら、良い。しつこくして悪かった。」

それは彼らしくない表面だけの言葉だった。何も良くないことは明らかだったが、それでも彼が私の言葉を信じようとそういう態度を取っていることに胸が痛んだ。

その日から、私と彼は一緒に高校に行かなくなった。学校でもあまり話さなくなった。私が彼を避けていたのもあるし、彼もあまり私に近づいてこなくなった。
















男性同士がどのように繋がるのかということを知ってはいた。ただ、そこが排泄器官である以上、精神的な抵抗が強いのではないかというイメージを持っていたのだが、それは私の思い過ごしだったらしい。

押し込んだ指が彼の身体を開いていくことは堪らない精神的な充足をもたらしたし、私の頭も身体も今すぐ彼と繋がりたいと欲していた。

「やめっ、あっ、も、恥ずかしっ・・・あっ。」

体の中に私の指を感じるたびに、彼は真っ赤にした顔を振って嫌がった。それは体内を蹂躙される嫌悪感というより、羞恥心に近いものだった。彼は生理的に私を拒んではいない。その事実に身が震えた。

「んっ、んあっ・・。」

三本の指を彼の中から引き抜くと、彼は安堵の溜息を漏らした。痛い思いはさせたくない。だからじっくりと、少しずつ時間をかけて彼の身体を開いた。彼のものは萎えていなかった。後ろの穴と一緒に愛撫され、確実に快楽を感じている。

「リトラー、力を抜いて。」
「やだっ、やめろっ。」

まだ閉じずにいる彼の穴に、私のものをあてがう。力無く、懇願するように涙目で抵抗するリトラーを押さえつけ、ゆっくりと彼の中に入っていった。

「あっ・・・がっ・・あっ・・。」

声も出せないような圧迫感に必死で耐えている彼に口付けた。私のものを一番奥まで埋めていく。彼は縋るように私の首に腕を回した。 彼の中は暖かかった。彼を征服した達成感と、このまま彼を滅茶苦茶にしてしまいたいと思う性衝動で心が満ちた。

















初めての夢から一週間。
続きを見て、私は夢精をした。信じられないくらいの悦びと、あまりにも大きい罪悪感があった。初めて私は、学校をずる休みした。
「例えば士官学生」のクリスマスSS
ディムロスとカーレル。





地上軍技術学校便覧
本校はレンズ兵器研究を目的として設立された連邦軍レンズ工学研究所を前身として天地開戦後に設立された技術将校養成機関であり、卒業生は先端レンズ技術研究所を始めとした軍内部研究機関で研究員として活躍するほか、技術試験隊・運用研究隊など技術部隊の指揮官、一般部隊の技術参謀など幅広く活躍している。

本校では理論と運用を兼ね備えた技術教育は勿論、一般の将校養成課程である士官学校にも劣らない充実した兵科教育が行われており、必要とあらば自ら前線へ馳せ参じる人材を育てている。その一例を挙げれば、本校三期生アレクセイ・エリン少将は改良型野戦通信機を利用した小隊単位の運動戦研究に実績があり、本校出身者としては初めて旅団長職に任じられ・・・云々。

「んー。」

図書館に行って開いてみたものの、こんなもので何かが得られるはずもない。ただ、他にすることもないため卒業生による輝かしい実績が写真付きで描かれているページをパラパラと眺める。

士官学校の一年生であるディムロスにとって技術学校は違う畑であり、将来出身者と共に働くことはあるとしても学校自体について知る必要は殆どない。いや、正しくは「軍人としての彼が知る必要はない」と言うべきか。プライベートは別問題である。

ディムロスは真面目な人間だ。常にと言うわけではないが重要に思うことに関しては準備を欠かさない。特に自分が不得意だと思う部分に関しては顕著に性質が表れた。

ディムロスがこんなにも頭を悩ませる問題は多くない。一つは家族について、もう一つはカーレルについて。今回は後者だ。昨日「妹が三人で食事をしようと言ってきて」というカーレルの一言が彼を動かしている。

昨日から見た明日、つまり今日はクリスマスイヴである。初めてカーレルと一緒に過ごすクリスマスに妹が付いてくるのを不満と思うほど心が狭い人間ではなかったが、初対面でしかも嫌われている可能性があるカーレルの妹と三人で楽しく過ごすのはディムロスにとって大いなる難関に思えた。

よって、共通の話題を増やすための予習をしている。話題は多い方が良い。ただ、その予習の方法が朴念仁たるディムロス・ティンバーの面目を躍如するものであった。つまり、図書館でカーレルの妹ハロルド・ベルセリオスが現在通っている地上軍技術学校の便覧を眺めている状況はそうして作られたのだ。

最近の女の子がどんなものに興味があるのか全く分からない、と半ば中年男性のような苦悩に頭を抱える。高校時代、自分も普通に同級生の女性と親しくしていたと言うのに短い時間で人間は劣化するものだと思わず哲学的になってしまう。

「ディムロス?」

カーレルの声がして驚く。何もやましいことをしていた訳ではないが、妹と話すための予習をしていたと知られるのは余りに恥ずかしかった。

「どうしました?」
「あ、いや、急だったから驚いて。」
「そうか、あ、なんかごめん。」
「いや、こちらこそ。あぁ、あの、エリン少将の業績に興味があって。」

派手に驚いたディムロスに驚いた様子のカーレル。違和感を取り繕おうと、聞かれてもいないことを言ってしまう。しかしカーレルは気にする様子もなく笑顔になった。

「そうなんですか。ちょうど良かった。」

そう言いながらカーレルはディムロスの隣に座った。身体が近くて、少しディムロスは自分の体温が上がるのを感じた。

「尊敬する人らしいんです、妹の。」
「尊敬する人?」
「彼のようになりたいと手紙に書いてあって。」

便覧のページに目を落とす。アレクセイ・エリン少将の紹介には見開き2ページが使われていて、肖像写真も載っていた。小柄で筋肉質とも言えない体格ではあったが、やや攻撃的にも見える尖った鼻が細面の中心に配され右目の上の傷が豊富な実戦経験を滲ませていた。技術学生の、それも女性に人気があるとも思えないが・・・。

「久しぶりに会うから、話題作りに調べておこうと思って。」
「兄妹なんだから他に話すことはあるんじゃないのか?」
「自分の趣味以外にあんまり興味が無い子なんです。」

カーレルは少し苦笑したけれど、ディムロスは少し安心した。兄妹で会話に困るなら、自分が困っても仕方が無いなと開き直れた。

「変わった趣味だな。」
「そうなんですよ。武張ったことが好きで。」
「他に好きな軍人は?」

こうやって自然に聞ければ悩むこともなかったのに、とディムロスは思う。ただ、友人の妹と会うのにわざわざ予習をする気の小ささを見せるのが恥ずかしかったのだ。

「古い所だとスキピオとか、ハンニバルとか。」
「あぁ、なるほど。」
「部屋にガリア戦記もあったかなぁ。」
「最近だと?」
「エリン少将とマイナード大佐と。」

あ、戦死されたお兄さんの方とカーレルは付け加えた。ディムロスはイリア・マイナード大佐とリトラー司令とは公私に渡って親しかったという話を聞いた事があった。あまり記憶にないが、多分家にも来たことがあったはずだった。

「あと、」
「あと?」

カーレルが間を取る。言って良いものかどうか、と逡巡が見えて視線を少し落とした。ディムロスは不思議がって、「どうした?」と尋ねながら覗き込むように視線を合わせる。思ったより顔が近いことに気付いた二人は弾かれたように離れる。

「すまない。」
「あ、いえ、私こそ。」

明らかにおかしな場面だったが幸いにして誰も見ていなかったことに二人は胸を撫で下ろす。別にやましいことはないのだが、誤解が生じる可能性があることを二人とも分かっていた。ただ、考えると誤解が誤解でなくなる恐れがあるのも無意識に分かっていたので、その誤解が具体的にどんなものかを考察することはなかった。

「あ、えぇっと、さっきの続きなんですけど。」
「あぁ、うん。」
「ええっと・・・。」

カーレルは自分から話を戻したものの、また続きをすぐには言わずに逡巡する。ディムロスは急かすでもなくゆっくりと続きを待った。

「トマス・ウォーラ中将が好きらしくて。」
「・・・・あー。」

なるほど、言い淀む訳だとディムロスは思ったし、同時にハロルドが自分も含めて三人で会いたがった理由も分かった。地上軍総司令の娘が尊敬する軍人として天上軍参謀本部長が適切かどうかは分からないけれど、どうやら自分は友人の妹とどうにかお話出来そうだと思えた。

「何か失礼なことを聞いたらごめんなさい。」
「いや、父のことを話せるのは嬉しいよ。」
「ありがとう。妹にも紹介できるチャンスだと思ったから。」

お互いホッとしたのか自然な笑顔になった。ディムロスは思う。自分は父にカーレルを紹介できる日が来るんだろうかと。来て欲しいし、出来るだけ早ければ良いと思う。今、幸せにしていると知って欲しいから。

「じゃあ、行きましょうか。」
「ああ。」

席を立ったディムロスはリトラーから貰ったコートを羽織った。「似合いますよ」とカーレルに言われて、少し照れる。外は雪が降っていた。カーレルの吐く息が白い。

カーレルに出会ってからの全てがそうだったように、きっと今までで一番楽しいクリスマスになるんじゃないかとディムロスは思った。
黙示録996編
次回出てくるんですがリトラーの小隊には新キャラ続々です。
本編で出す前に、SSに出しとこうと思います。
・イリア・マイナード 育ちは良いのに態度が悪いイクティノスの兄貴。わがまま担当。ブラコン。
・リヒャルト・ウォルツ 育ちは悪いけど性格は良い。世話焼き担当。
・ブルーノ・オドネル 小隊ではやや年嵩の23歳。故郷に彼女あり。ベルセリオス兄弟の父親。

「クリスマスカード?」
「ああ。クリスマスに届くようにしてくれるらしい。書くか?」
「リトラーさんは?」
「メリークリスマスとか言ってられる気分じゃない。」

クリスマスを目前に控えた最前線で、場違いな話題。
塹壕の冷たい土の上に座りながらクリスマスについて考える。
どうやら上は前線に送る物が足りない不満を前線から送らせる分で紛らわすつもりらしい。
やってられないと言った調子でリトラーは笑った。

「同感ですよ。」

イリアも応えるように乾いた笑みを浮かべる。
勘当同然に家を出てきて、今更クリスマスカードなど書けたものか。
ただまぁ、9歳になる弟は喜んでくれるかもしれないが。

兄のやや脚色の入った武勇譚が綴られた手紙をいつも喜んで読むのは弟のイクティノスだった。
両親はイリヤの消息を心配はするものの後継ぎ息子への怒りは隠さない。
代々海軍提督を出しているマイナード家の長男が一兵卒で陸軍に入るなど許されないことだった。

「お前、故郷に許嫁とかいないのか?」
「いませんよ。そんなに古風な家じゃありません。」
「そんなもんか。」
「女性の長い話を大人しく聞くのが苦手なんです。」
「お前、顔良い癖に女にモテないだろ。」
「天は二物を与えず、ですよ。」
「お前なぁ・・・。」
「いたたたた。」

愛嬌の域に達しつつある不遜さを持った部下の頬を抓った。
性格には随分開きがあったが年齢も近い二人は上官と部下の関係ながら古くからの友人のように気安く振舞うことが出来た。
もっともイリヤは誰に対してもこのような態度なのだが。

「リトラーさん、ブルーノの奴が彼女にクリスマスカード書いてますよ。」
「おお、隅に置けないな、ブルーノ。」
「リヒャルト、逃がすなよ。」

戦場ではこういう浮いた話が一番の潤いで、良い歳をした兵士や士官が小学生のように盛り上がってしまう。
さっきまで皮肉な笑いを浮かべていた二人も急いで、しかし塹壕から決して頭は出さずにリヒャルトの所へ駆けて行った。

「レーナ・ベルセリオスへ。お、レーナっていうのか。」
「リヒャルト!お前、音読するな!」

ブルーノに馬乗りになっているリヒャルトは得意顔でクリスマスカードを手にしていた。
必死に抵抗するブルーノの頭を、紫色の髪を撫でまわすように抑えつけている。

「良いなー、クリスマスカードの送り先があって。」
「ま、戦場で彼女の話とかすると死ぬんですけどね。」
「戦争が終わったら結婚するんだ、とか?」
「そうそう。」
「あ、この戦争が終わったら結婚しようって書いてありますよ。」
「ブルーノ死んだな。」
「優秀な部下を失うのは残念だ。」
「祈るな!」

リトラーはリエトヴァ式に両手を握り合わせ、イリヤは十字を切って神に祈った。
二人とも別段信じている宗教がある訳ではなかったが申し訳程度に教会に通っていた。
連邦の細かい地域差はこんなところに表れる。

「ブルーノ・ベルセリオスになるのが待ち遠しい。あ、お前婿に行くのか。」
「いい加減にしろ!返せよ!」
「結婚式には呼んでくれよ。生きてたら。」
「あ、リトラーさん、俺も行きます。」
「俺も俺も。」
「絶対呼ばねーからな!」

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