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気付いたら23歳(遠い目
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「例えば士官学生」のクリスマスSS
ディムロスとカーレル。





地上軍技術学校便覧
本校はレンズ兵器研究を目的として設立された連邦軍レンズ工学研究所を前身として天地開戦後に設立された技術将校養成機関であり、卒業生は先端レンズ技術研究所を始めとした軍内部研究機関で研究員として活躍するほか、技術試験隊・運用研究隊など技術部隊の指揮官、一般部隊の技術参謀など幅広く活躍している。

本校では理論と運用を兼ね備えた技術教育は勿論、一般の将校養成課程である士官学校にも劣らない充実した兵科教育が行われており、必要とあらば自ら前線へ馳せ参じる人材を育てている。その一例を挙げれば、本校三期生アレクセイ・エリン少将は改良型野戦通信機を利用した小隊単位の運動戦研究に実績があり、本校出身者としては初めて旅団長職に任じられ・・・云々。

「んー。」

図書館に行って開いてみたものの、こんなもので何かが得られるはずもない。ただ、他にすることもないため卒業生による輝かしい実績が写真付きで描かれているページをパラパラと眺める。

士官学校の一年生であるディムロスにとって技術学校は違う畑であり、将来出身者と共に働くことはあるとしても学校自体について知る必要は殆どない。いや、正しくは「軍人としての彼が知る必要はない」と言うべきか。プライベートは別問題である。

ディムロスは真面目な人間だ。常にと言うわけではないが重要に思うことに関しては準備を欠かさない。特に自分が不得意だと思う部分に関しては顕著に性質が表れた。

ディムロスがこんなにも頭を悩ませる問題は多くない。一つは家族について、もう一つはカーレルについて。今回は後者だ。昨日「妹が三人で食事をしようと言ってきて」というカーレルの一言が彼を動かしている。

昨日から見た明日、つまり今日はクリスマスイヴである。初めてカーレルと一緒に過ごすクリスマスに妹が付いてくるのを不満と思うほど心が狭い人間ではなかったが、初対面でしかも嫌われている可能性があるカーレルの妹と三人で楽しく過ごすのはディムロスにとって大いなる難関に思えた。

よって、共通の話題を増やすための予習をしている。話題は多い方が良い。ただ、その予習の方法が朴念仁たるディムロス・ティンバーの面目を躍如するものであった。つまり、図書館でカーレルの妹ハロルド・ベルセリオスが現在通っている地上軍技術学校の便覧を眺めている状況はそうして作られたのだ。

最近の女の子がどんなものに興味があるのか全く分からない、と半ば中年男性のような苦悩に頭を抱える。高校時代、自分も普通に同級生の女性と親しくしていたと言うのに短い時間で人間は劣化するものだと思わず哲学的になってしまう。

「ディムロス?」

カーレルの声がして驚く。何もやましいことをしていた訳ではないが、妹と話すための予習をしていたと知られるのは余りに恥ずかしかった。

「どうしました?」
「あ、いや、急だったから驚いて。」
「そうか、あ、なんかごめん。」
「いや、こちらこそ。あぁ、あの、エリン少将の業績に興味があって。」

派手に驚いたディムロスに驚いた様子のカーレル。違和感を取り繕おうと、聞かれてもいないことを言ってしまう。しかしカーレルは気にする様子もなく笑顔になった。

「そうなんですか。ちょうど良かった。」

そう言いながらカーレルはディムロスの隣に座った。身体が近くて、少しディムロスは自分の体温が上がるのを感じた。

「尊敬する人らしいんです、妹の。」
「尊敬する人?」
「彼のようになりたいと手紙に書いてあって。」

便覧のページに目を落とす。アレクセイ・エリン少将の紹介には見開き2ページが使われていて、肖像写真も載っていた。小柄で筋肉質とも言えない体格ではあったが、やや攻撃的にも見える尖った鼻が細面の中心に配され右目の上の傷が豊富な実戦経験を滲ませていた。技術学生の、それも女性に人気があるとも思えないが・・・。

「久しぶりに会うから、話題作りに調べておこうと思って。」
「兄妹なんだから他に話すことはあるんじゃないのか?」
「自分の趣味以外にあんまり興味が無い子なんです。」

カーレルは少し苦笑したけれど、ディムロスは少し安心した。兄妹で会話に困るなら、自分が困っても仕方が無いなと開き直れた。

「変わった趣味だな。」
「そうなんですよ。武張ったことが好きで。」
「他に好きな軍人は?」

こうやって自然に聞ければ悩むこともなかったのに、とディムロスは思う。ただ、友人の妹と会うのにわざわざ予習をする気の小ささを見せるのが恥ずかしかったのだ。

「古い所だとスキピオとか、ハンニバルとか。」
「あぁ、なるほど。」
「部屋にガリア戦記もあったかなぁ。」
「最近だと?」
「エリン少将とマイナード大佐と。」

あ、戦死されたお兄さんの方とカーレルは付け加えた。ディムロスはイリア・マイナード大佐とリトラー司令とは公私に渡って親しかったという話を聞いた事があった。あまり記憶にないが、多分家にも来たことがあったはずだった。

「あと、」
「あと?」

カーレルが間を取る。言って良いものかどうか、と逡巡が見えて視線を少し落とした。ディムロスは不思議がって、「どうした?」と尋ねながら覗き込むように視線を合わせる。思ったより顔が近いことに気付いた二人は弾かれたように離れる。

「すまない。」
「あ、いえ、私こそ。」

明らかにおかしな場面だったが幸いにして誰も見ていなかったことに二人は胸を撫で下ろす。別にやましいことはないのだが、誤解が生じる可能性があることを二人とも分かっていた。ただ、考えると誤解が誤解でなくなる恐れがあるのも無意識に分かっていたので、その誤解が具体的にどんなものかを考察することはなかった。

「あ、えぇっと、さっきの続きなんですけど。」
「あぁ、うん。」
「ええっと・・・。」

カーレルは自分から話を戻したものの、また続きをすぐには言わずに逡巡する。ディムロスは急かすでもなくゆっくりと続きを待った。

「トマス・ウォーラ中将が好きらしくて。」
「・・・・あー。」

なるほど、言い淀む訳だとディムロスは思ったし、同時にハロルドが自分も含めて三人で会いたがった理由も分かった。地上軍総司令の娘が尊敬する軍人として天上軍参謀本部長が適切かどうかは分からないけれど、どうやら自分は友人の妹とどうにかお話出来そうだと思えた。

「何か失礼なことを聞いたらごめんなさい。」
「いや、父のことを話せるのは嬉しいよ。」
「ありがとう。妹にも紹介できるチャンスだと思ったから。」

お互いホッとしたのか自然な笑顔になった。ディムロスは思う。自分は父にカーレルを紹介できる日が来るんだろうかと。来て欲しいし、出来るだけ早ければ良いと思う。今、幸せにしていると知って欲しいから。

「じゃあ、行きましょうか。」
「ああ。」

席を立ったディムロスはリトラーから貰ったコートを羽織った。「似合いますよ」とカーレルに言われて、少し照れる。外は雪が降っていた。カーレルの吐く息が白い。

カーレルに出会ってからの全てがそうだったように、きっと今までで一番楽しいクリスマスになるんじゃないかとディムロスは思った。

 8KB行きました。
もう少しシンプルに仕上げたかった。
二人して照れるシーンが楽しい。

女ハロルドは男ハロルドよりも良い子かも。
戦史マニアで機械マニア。
お兄さん子だけど、軍人としてはディムロスの方が好み。


創作キャラを羅列するバトン

今日まで頭の中で生み出してきた創作キャラクターの名前をひたすら書き連ねていくバトンです。
DQNネームや厨二病全開の黒歴史が出てきても恥ずかしがらずに書きましょう。
簡単な設定や名前の由来など添えてみても面白いかもしれません。

本編キャラ
・ノリス・カルナック
・イリア・マイナード
・リヒャルト・ウォルツ
・セルゲイ・ルキヤーノフ
・トマス・ウォーラ
・クーゲル・C・トラウム
・ルイス・クロフォード
・ブルーノ・オドネル

http://ros.blog.shinobi.jp/Entry/180/
・黒田都-Miyako Kuroda:黒縁眼鏡のヘタレ従順ワンコ、高一
・赤城神‐Miya Akashiro:赤縁眼鏡のフェロモン兄さん、高三
(上記二名は友人作)
・桜井康太郎‐Kotaro Sakurai:両目2.0、都の幼馴染。活発。高一
この作品は友人のリクエストで書いた奴。
普段書かないキャラで楽しかった。
中二っぽい名前あんま好きじゃないから、こういう名前はつけないなぁ・・・。

http://ros.blog.shinobi.jp/Entry/174/
・広重 敦/Atsushi Hiroshige:17歳、B型、172cm、ぼんやり系真面目少年
・宮下 良祐/Ryousuke Hirata:17歳、O型、173cm、しっかり者
これは友人が描いてくれたイラストが元だったと思う。
「あっくん」は好きなキャラの一つ。

http://ros.blog.shinobi.jp/Entry/169/
・大蔵健吾(ディム)・・・三年、主将、四番で遊撃。
・岸田司(カーレル)・・・三年、三番で捕手。
・岸田純(ハロルド)・・・三年、速球派のエースピッチャー。
高校野球をテーマに書いた時のもの。
括弧内はモデルになったキャラ。

http://ros.blog.shinobi.jp/Entry/346/
・ブルーノ・ヨハンソン主計中尉、普通の秀才っぽい若者。
海軍の話をちょっと書きたくて書いた話。

・昔書いた学園モノ
珍しい苗字が好きだったんだな、当時は。

橘尚吾
丹羽優斗
二条晋
南風原旭
橘航
伊庭一

・企画だけ出た高校演劇部もの
この頃はすでに割と普通の名前になっている。
作演2年 伊勢谷 賢
俳優2年 秋元 貴美男
俳優2年 林 大吾
俳優1年 広瀬 美幸
俳優1年 中村 翔太郎
舞台2年 乾 亮介
舞台1年 森岡 康平
照明2年 高部 徹也
照明1年 安倍 聡
音響2年 中村 久美
音響1年 大崎 はるか
制作2年 永井 弘之
制作1年 倉野 美沙子

・昔書いた脚本(個別指導塾が舞台の話)

須藤 由美 講師、三年目
駒野 弘文 講師、一年と少し。
末岡 綾子 面接に来た人
篠塚 未来 生徒の姉。自身も元生徒。
塩谷 遥  主任
小林 啓輔 派遣会社「PPF」の派遣アルバイト・元講師
加藤 毅   運送会社「山手通運」の社員。


・昔書いた脚本(大学のサークルが舞台)
中原栄一郎:一年、意外とアウトドア派。電車で漫画を拾ってくる。地元の人間。
中原豊:中原の姉婿。旧姓の平岡で呼ばれる。
権藤恵美:二年、ごつい苗字がお気に召さない。エミさんと呼ばれる。
野田芳香:一年、中原と高校時代からの友人。部室には良く来る。地元人。
倉持優子:一年、インドア派なのに会員。
河野久:二年、良くカルトの勧誘に間違われる。
芦川 陽介:二年、権藤と親しい。

・昔書いた短編脚本。10分くらい。

苅部
土屋
川口
榎本
渡辺
古いのはまだまだいると思うんだけどなぁ。
ノリスの両親なんだっけ?

取り敢えず以上。


お疲れ様でした!

------------------
こちらより!
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