気付いたら23歳(遠い目
8月。
士官学校に夏休みは無く、そもそも気温が上がらないので存在意義が無い。とは言え7月よりは日も長く気温もあがる。二列前の寒がりな彼にとっては少し暖かいのも嬉しいんじゃないだろうか。そんな彼は、相変わらず日当たりの良い窓際の席に陣取っている。早いもので、こうして彼の背中を眺め始めて4ヶ月が経った。あまり他人と親しく接するのは得意ではなかった私だけれど、意外なほどに彼とは打ち解けられた。
「昨日の実習ですけど。」
「小銃の?」
「そう。随分上達しましたね。」
「いや、まだ改善の余地はあるが・・・。」
「四月の惨状からは想像もつかない向上ですよ。」
「褒めたのか?」
「ええ、頑張ったと思いますよ?」
馬鹿にされたような、褒められたような。でも彼が嬉しそうだったので丸め込まれてしまった。何と言うか、彼には弱いな。彼が楽しそうに目を少し細めるだけで簡単に私は幸せな気持ちにさせられてしまうのだから。
士官学校に夏休みは無く、そもそも気温が上がらないので存在意義が無い。とは言え7月よりは日も長く気温もあがる。二列前の寒がりな彼にとっては少し暖かいのも嬉しいんじゃないだろうか。そんな彼は、相変わらず日当たりの良い窓際の席に陣取っている。早いもので、こうして彼の背中を眺め始めて4ヶ月が経った。あまり他人と親しく接するのは得意ではなかった私だけれど、意外なほどに彼とは打ち解けられた。
「昨日の実習ですけど。」
「小銃の?」
「そう。随分上達しましたね。」
「いや、まだ改善の余地はあるが・・・。」
「四月の惨状からは想像もつかない向上ですよ。」
「褒めたのか?」
「ええ、頑張ったと思いますよ?」
馬鹿にされたような、褒められたような。でも彼が嬉しそうだったので丸め込まれてしまった。何と言うか、彼には弱いな。彼が楽しそうに目を少し細めるだけで簡単に私は幸せな気持ちにさせられてしまうのだから。
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