気付いたら23歳(遠い目
戦後、夏
ディム+ハロ
視線の端で、彼の手の中の団扇が忙しなく動く。
「あちー。」
「・・・・。」
「ん?」
「お前、寒がりだったのにな。」
「さみーもんはさみーし、今はあちーんだよ。」
「変わらないなぁ。」
「なんだよ。」
「あぁ、いや。」
「変な奴だな。どうした?」
「何でもないんだ。」
「・・・・・・。」
「本当に。」
団扇が止まった。
ため息一つ。
視線がこちらへ向き、目が合う。
「兄貴も寒がりだった。」
「・・・・・・。」
「この暑さはどうだったんだろうな。」
「・・・・・・。」
「『暑いですね、少し。』」
「言いそうだな。」
「似てなくて悪かったな。」
「いや・・・気を使わせてすまん。」
「別に。」
「・・・・・ふふっ。」
「何笑ってんだよ。」
「似ているよ。」
「ん?」
「そういう優しさ。」
どんな顔をしたものか困ったのだろう。
彼は取り敢えず眉間に皺を寄せて顔を顰めていた。
ペシ、と団扇で額を叩かれる。
「兄貴はもっと温かかった。」
「そうだな。」
「そうだよ。」
束の間吹いた風に風鈴が鳴る。
二人で空を見て目を閉じた。
ディム+ハロ
視線の端で、彼の手の中の団扇が忙しなく動く。
「あちー。」
「・・・・。」
「ん?」
「お前、寒がりだったのにな。」
「さみーもんはさみーし、今はあちーんだよ。」
「変わらないなぁ。」
「なんだよ。」
「あぁ、いや。」
「変な奴だな。どうした?」
「何でもないんだ。」
「・・・・・・。」
「本当に。」
団扇が止まった。
ため息一つ。
視線がこちらへ向き、目が合う。
「兄貴も寒がりだった。」
「・・・・・・。」
「この暑さはどうだったんだろうな。」
「・・・・・・。」
「『暑いですね、少し。』」
「言いそうだな。」
「似てなくて悪かったな。」
「いや・・・気を使わせてすまん。」
「別に。」
「・・・・・ふふっ。」
「何笑ってんだよ。」
「似ているよ。」
「ん?」
「そういう優しさ。」
どんな顔をしたものか困ったのだろう。
彼は取り敢えず眉間に皺を寄せて顔を顰めていた。
ペシ、と団扇で額を叩かれる。
「兄貴はもっと温かかった。」
「そうだな。」
「そうだよ。」
束の間吹いた風に風鈴が鳴る。
二人で空を見て目を閉じた。
PR
コメントを書く