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気付いたら23歳(遠い目
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晩酌中の誠です、こんばんは。
「例えば士官学生」はお楽しみ頂けてるでしょうか?小出しに連載していく形式には慣れてないもので、勝手が掴めないままやっております。何?さっさとラブラブさせろ?やーだよー。ヤキモキにヤキモキを重ねたいのです、私は。しかし朝の教室もそろそろ飽きてきましたし、場所を移しましょうかね?カー君が下宿先に連れ込んじゃったり?やだー、カー君ったら積極的♪すみません。酔ってるんで許して。

今日、予備校で弁当を食べていたら「案外食べるんだね」と感心されてしまった。居眠りしてた時も「お前も居眠りするんだね」とか。食欲とか睡眠欲とかと無縁な人間に見えたようです、何故か。まぁ、昔から基本的に無欲そうに見えるらしいんですが大欲は無欲に似たりとも申しますからね。シンプルな人間性なんで三大欲求にも忠実ですし、食欲も性欲も睡眠欲も人並み以上だと思いますよ、多分。美味しいもの沢山食べたいですし、可愛い女の子orカッコいい男の子といちゃつきたいですし(いじめるのも好きですwww)、たっぷり眠りたいですし・・・。あっ、もしかして自分で自分のキャラを崩しちゃってる?いっけねー。まっ、いいやー。よし、崩しついでにSキャラを前面に出していこう。
今日から優しいSキャラで行きます、誠です。どうぞよろしく。
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翌朝。聞いたからには呼んでみようと思いながら、教室への道を歩いた。私達は二人でいるのだから、わざわざ名前を呼ぶ必要なんてないのだけれど、何だろう、彼を身近に感じられたら嬉しいだろうなと、そう思ったから。なるべく静かに教室に入り、彼の背中を見つけた。今日は日差しが弱いのか彼の指定席は日溜まりにはなっていなかった。まだ彼は私に気付いていない。掴み所のない彼に翻弄されてばかりだから、こうして気付かれずに見ていることに少しの優越感を覚えていた。 

「カーレル。おはよう。」
「・・・。」 

若干ぎこちなく声をかけると、彼は黙って振り向いて目を瞬いた。少し眉が上がっていて、驚いた顔だと私は分かった。それから「んー」と小首をかしげて視線を泳がせ、何やら考えている様子。いつもと違い、うんうんとは頷かなかった。 

「何ででしょうね?」
「ん?」
「名前を呼ばれて、妙に嬉しいんですよ。」
「そうか。」
「そうなんですよ。」 

気が付いたら、彼は笑顔だった。なおも「何でかなぁ」と首を傾げていた。今日は首を横に曲げる日らしかった。
「ねぇ、ディムロス。」
「うん?」
「呼んだだけです。」
「何だかなぁ。」
「呼ばれて、どんな気持ちですか?」 

多分、私も「妙に嬉しい」気持ちだったのだと思う。ただ彼ほど表現力が豊かでない私は、それを言葉に出来なかった。 だから、私は彼を見つめながら「んー」と首を傾げて、それから零れるように笑った。彼は、やっと満足げに頷いた。 


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ファーストネームを呼び捨てると言うことに私は「特別」を感じるのですが、どうかしら? しかし、ディムロスは無口だな、内心色々考えてる割に。持って回ったような思考をしてるのは彼が固い人間なのを象徴してるわけなんですが、何か妄想豊かなむっつりスケベなタイプっぽくもある。(笑)  カー君はだいぶ心を許し始めました。そろそろ色々喋ってくれるはず。ディム君が自分なりの論理で動くのに対して、カー君は感性型なのでお互いに行動が読めてません。互いに不意討ちされてばかり、びっくりしてばかり、相手に振り回されてると互いに思ってるんだぜ、実は。 


M様と呼ばれたりもしますが、私は実はS様です。(笑)
翌日私が教室に行くと彼は振り向いて、おはよう、と二列後ろの私に声をかけてくれた。私も挨拶を返すと、彼は読書に戻った。何日かこんな朝の挨拶が続いた。おはよう、と私から挨拶することもあった。もう二言三言くらい他愛ないようなことを話すこともあったけれど、私達が言葉を交わすのは朝の数分二人きりの時だけだった。 

「あ、そういえば。」
「ん?」
「名前・・・。」
「名前、ですか?」
「私の。」
「あぁ、アナタの。」
「言ってなかったな、と。」
「ディムロス=ティンバーでしょう?」
「・・・!?」
「カーレルです。」
「?」
「ファーストネーム、私の。」 

少しずつ親しくなるのだけれど彼は不思議さを失わなかった。ファーストネームをわざわざ教えたのは呼べと言うことだろうか、と彼の一挙一動に関して私は相変わらず考察せざるをえず、しかも考えても結局彼が何を考えているのかはいつも分からずじまいだった。
「この前は、どうも。」

どうしようもなく半端な形で口火を切ったのは私だった。いかにも喋るのが下手な人間の切り出し方だし、何がどうもなのか全く分からない。その言葉を受けた彼はゆっくりとこっちを向くと、少し目を大きく開いて眉を上げた。これは彼の少し驚いた顔だったらしい。その後で、あぁ、と軽く頷いて彼は笑った。

「苦戦してましたね。ネジも無くしそうでしたし。」

忘れて良い事も含めて、彼は私を良く憶えていたようだった。ふわふわした見た目の割に彼ははっきりとした声をしていたが、喋り方には雰囲気と共通する丸みがあって、きつさが感じられなかった。ただ、この話題は少し失敗だったようにも思えた。

「実習は苦手ですか?」
「・・・不器用なので。」
「なるほど。見た目通りですね。」

彼は何故だか満足そうに笑って頷いた。厭味にも聞こえそうな発言だったのに、思ったほど悪い気はしなかったのが不思議だ。痘痕も笑窪?少し違うか?取り敢えず、頭の切れそうな好青年という感じの見た目とは少し違うのは良く分かった。おっとりしているというか、鈍いというか、独特のペースを持っているように感じられた。

「朝、早いんですね。」
「ええ、良い席が取りたくて。」
「日当たりの良い?」
「ええ。日差しがあると寒さも幾らか和らぎますよ。」

そう言ってから彼は掌を擦って、廊下は冷えますね、と笑った。良く笑う人だな、と思った。笑っている人といるのは気分が良いな、と思った。他の友人も勿論笑うけれど、彼みたいに暖かく笑うのはあまり見ない。寒いと言いつつ暖かく笑うのは、何だか可笑しくて良いなと思った。

「貴方も、早いですね?」
「ええ、私は・・・何となく。」

無意識なんだろうけれど鋭い質問だった。正直言って答えに窮した。私は彼との関わりが持てるかな、と期待して早く行っていた訳だけれど、それを表立って本人に言えるほどに大胆な性格ではないし、誤解――そもそもどういう誤解だ?――を恐れない性質でもなかった。彼は大きな瞳を私の顔へ向けたまま、ふーん、と笑って頷いた。さっきから良く上下に動く首だな、と思った。彼は制服の下に薄手のタートルネックを来ていたから首自体は見えなかったけれど。彼の表情には訝しむ様子はなかった。ただ、彼の納得する様子が妙に嬉しそうなので少し反応に困る。

「ふーん・・・何となく、ね。」
「ええ。」
「じゃ、早く来て何かしてる訳じゃないんですか?」
「あー、まぁ。」
「・・・なるほど。」

そうして同じように、彼は嬉しそうに笑って頷いた。釈然としない気持ちながら、何となく釣り込まれて嬉しいような気持ちにさせられてしまった。本当に彼は不思議な人だ。丁度、用務員の人が来て、教室の鍵が開いた。他の学生もやってきた。彼は私に軽く一礼すると、いつもの通りに指定席へと急いだのだった。私はまた名乗りそこなってしまった。
前書き(三話の前に前書き、という斬新なスタイルだね/苦笑)
元々は「例えば大学生」って内容でオリジナル作品を書こうとしたのです。日当たりの良い窓際の席に座る真面目な青年と、彼に興味を持つ二列ほど後ろの人の話。しかし、大学って私はまだ良く分からない空間ですので。(苦笑)かと言って高校は今更な感じもしましたし、予備校は書きにくいしね。とか考えてるうちに窓際の彼がカーレルになって、もう片方はディムロスに。じゃ、士官学校にしちゃえばいいんじゃないの?って感じで進みました。安易だ・・・。きっかけは予備校の現代国語の授業で村上春樹を少し読んで、文章が書きたくなったからなんです。文体は少し村上春樹っぽくしてみようと思ったのですが、なかなか上手く行きませんね。語り手のディムロスは話の中のディムロスと時間的にかなり距離があるんですが、伝わるかなぁ。過去の出来事だけではなく、それを見詰める現代のディムロスの様子を滲ませられたらという挑戦。長くなりましたが、では、本編参りましょう。

都合良くすぐに偶然が起きたりはしなかったが、それを待つ毎日は妙に楽しかったような気がする。朝は今日こそ何かの弾みで話せるだろうかと期待を膨らませ、夕刻にはいつも通り期待が裏切られたのを残念がった。もう私は毎日二番目に教室に来るようになっていた。彼より早く来る事もしようと思えば出来たとは思う。でも、それはしなかった。私はただ、偶然がやってくるのを待っていた、しっかりと身構えて。待ちに待った偶然がやってきたのは半月ほどした頃だった。いつも通りの時間に教室へと廊下を歩いていると、教室の扉の前に彼が立っていた。彼は廊下の掲示板をぼんやり眺めていた。私は何故彼がそんなところにいるのか分からなかったが、その後ろを通り過ぎて扉に手を掛けた。合点が行った。扉には鍵が掛かっていた。

「まだ開いてないみたいですよ。」

ドアノブを捻る音でこちらに気付いたのか、彼はこちらに視線を移していた。思ったより唐突に待っていた偶然が来てしまって、私は内心で狼狽したのだったが、外からは見えないように努力したつもりだった。

「あぁ、なるほど。」

やりとりはそこで切れてしまった。もう少し続きやすい感じに返事をしたら良かったかもしれないと後悔しながら、開かないドアに背中を預けた。あんなに何かきっかけが欲しいと思っていたのに、何も喋りだせなかったのがとても私らしいと思う。彼の視線はもう掲示板に戻っていた。沈黙の中、何処からか入ってくる隙間風の寒々しい音がした。隕石衝突以来の気候変動と天上都市の所為で、当時は五月でも相当に寒かった。
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