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気付いたら23歳(遠い目
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翌朝。聞いたからには呼んでみようと思いながら、教室への道を歩いた。私達は二人でいるのだから、わざわざ名前を呼ぶ必要なんてないのだけれど、何だろう、彼を身近に感じられたら嬉しいだろうなと、そう思ったから。なるべく静かに教室に入り、彼の背中を見つけた。今日は日差しが弱いのか彼の指定席は日溜まりにはなっていなかった。まだ彼は私に気付いていない。掴み所のない彼に翻弄されてばかりだから、こうして気付かれずに見ていることに少しの優越感を覚えていた。 

「カーレル。おはよう。」
「・・・。」 

若干ぎこちなく声をかけると、彼は黙って振り向いて目を瞬いた。少し眉が上がっていて、驚いた顔だと私は分かった。それから「んー」と小首をかしげて視線を泳がせ、何やら考えている様子。いつもと違い、うんうんとは頷かなかった。 

「何ででしょうね?」
「ん?」
「名前を呼ばれて、妙に嬉しいんですよ。」
「そうか。」
「そうなんですよ。」 

気が付いたら、彼は笑顔だった。なおも「何でかなぁ」と首を傾げていた。今日は首を横に曲げる日らしかった。
「ねぇ、ディムロス。」
「うん?」
「呼んだだけです。」
「何だかなぁ。」
「呼ばれて、どんな気持ちですか?」 

多分、私も「妙に嬉しい」気持ちだったのだと思う。ただ彼ほど表現力が豊かでない私は、それを言葉に出来なかった。 だから、私は彼を見つめながら「んー」と首を傾げて、それから零れるように笑った。彼は、やっと満足げに頷いた。 


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ファーストネームを呼び捨てると言うことに私は「特別」を感じるのですが、どうかしら? しかし、ディムロスは無口だな、内心色々考えてる割に。持って回ったような思考をしてるのは彼が固い人間なのを象徴してるわけなんですが、何か妄想豊かなむっつりスケベなタイプっぽくもある。(笑)  カー君はだいぶ心を許し始めました。そろそろ色々喋ってくれるはず。ディム君が自分なりの論理で動くのに対して、カー君は感性型なのでお互いに行動が読めてません。互いに不意討ちされてばかり、びっくりしてばかり、相手に振り回されてると互いに思ってるんだぜ、実は。 


M様と呼ばれたりもしますが、私は実はS様です。(笑)
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