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気付いたら23歳(遠い目
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試験は、悪くない出来だった。カーレルに教わった近代戦史は意外なほど点が取れたし、自信があった基礎用兵も良い評価を貰えた。カーレルは首席だったらしい。本人から聞いたのではなく、同級生が嫉み半分で噂してるのを聞いただけだから確かではないけれど。同時に「せいぜい首席で学校出て出世したら良いさ」とか「親が軍幹部だから優遇されてんだよ」なんて、心ない中傷も耳に入った。彼が悪く言われるの聞くのは良い気分がしない。陰口自体がそもそも性に合わないけれど、何だろう、彼と話したこともなければ、笑った顔を見たこともない人間が憶測で彼について話すのは気分が悪い。彼を弁護してやれない自分が情けないのと同時に彼の良さを私しか知らないんだと優越感に浸る自分が少し嫌だ。

「どうでした?」
「お蔭様で、悪くはない。」
「ふふ、優秀な教え子で鼻が高いな。」
「お前こそ、試験良かったんだろ?」
「・・・まぁ。」
「あまり、噂を気にするな。」
「ありがとう。大丈夫ですよ。」

苦笑する彼に、何だかすまない気持ちになる。聞くと、やはり彼の成績はとても優秀で噂通りだった。彼の成績は彼の能力と真面目さによるものだし、彼は成績を隠すこともひけらかすこともしない。私は彼を尊敬している。

「さて、何かお礼をしなくてはな。」
「まだ憶えてたんですか?」
「当たり前だ。何か欲しい物はないか?」
「んー、あるかなぁ。」
「何かないのか?」
「尋問みたい。」
「良いから、さっさと決めてくれ。」
「何でも良いんですか?」
「高いものじゃなければな。」
「んー・・・。」

彼は思いついたように口を開いた。私はそれを聞いて、複雑な気持ちから顔をしかめた。それを見た彼は、私を困らせて嬉しかったのか、盛大に笑った。
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